一つの曲が、街を駆け抜けた。
「LIFE」——e-famのリーダー、ruzaがそのリリックに刻んだ問いは、シンプルだった。
なにをどうすりゃ人生完成ー。
答えを求めているのは、自分だけじゃないとわかっていたから、あの言葉はストリートに刺さった。

だが彼は、ヒットの余韻に浸らなかった。
マイクを置き、沖縄へ渡った。都市の喧騒から離れ、青い空と海の前に立ったとき、あのリリックの問いはまだそこにあった。今度は、自分自身へのアンサーとして。

やがて彼は、一般社団法人LifeVBestを立ち上げる。名前も、ruzaから本名・須藤竜へと戻した。ラッパーとしての看板を下ろしたのではない。ステージが変わったのだ。
コンセプトはふたつの言葉の掛け算だ。人生最高(LifeBest)と、誰かにとっての救命胴衣。自分の人生をベストな状態で生きることと、溺れかけている誰かの命綱になること(LifeVest)——その両立が、彼の出した答えだった。
だが、ここで知っておかなければならないことがある。
須藤竜がこの問いを抱えていたのは、ステージの上だけではなかった。マイクを握りながら、彼はずっと、別の現場にも立ち続けていた。
児童養護施設。親に守られなかった子どもたちが暮らす場所で、18年間。
「なぜ虐待はなくならないのか」——その問いへの答えを、彼は現場で探し続けた。そして気づいた。子どもを守るのは施設の力だけではない。地域社会全体のつながりと、大人一人ひとりの「知ること」だと。

2021年3月、家族とともに沖縄・うるま市へ移住。同年10月、地域の居場所「パーラーOKI」を開き、2024年には地域コミュニティスペース「OKI HOUSE」へと発展させた。講演、研修、子どもの体験イベント、支援者へのケアプログラム——活動は静かに、しかし確実に広がっている。
そして、あのリリックのもうひとつの意味が、今になって浮かび上がる。
気にしたことないぜ、血の繋がり、
理解されず変わり者扱い。

当時、その言葉をどんな気持ちで書いたのかは本人にしかわからない。だが今の須藤竜を知る人間には、あのリリックが単なるフックではなかったことがわかる。
彼は今、2歳の女の子の里親だ。
血は繋がっていない。それでも、守る。理解されなくてもいい——そう決めた人間だけが選べる生き方がある。変わり者で結構。あのビートに乗せた言葉は、未来の自分への宣言だったのかもしれない。
曲のタイトルは「LIFE」だった。法人の名前も「LifeVBest」。そして今、リリックを書いていた男は、本名で、沖縄で、誰かの人生に手を差し伸べている。
lifevbest.jp →
言葉でなく、暮らしそのものが、答えになっている。
FINAL TRANSMISSION / VOL.01
——あの頃、「LIFE」を書いていたとき、今の自分を想像していましたか?
須藤竜は少し間を置いて、笑った。
NEXT TRANSMISSION
VOL.02 —— COMING SOON
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